
在宅は大変そう…。興味はあるけど、私にもできるかな?
急な配達や往診同行と聞くと、しんどそうと不安になりますよね。
私が在宅専門薬局でやりがいを感じるのは、患者さんの生活を踏まえて、医師や施設スタッフと治療を考えられること。
この記事では、私の勤務先を例に、1日の流れとやりがい、大変な場面を紹介します。
最後まで読むと、知らなかった在宅訪問の仕事内容が見えてきますよ。
※勤務時間や業務分担は、私の勤務先での実例です。
在宅専門薬局ではどんな仕事をする?

私の主な仕事はこちら。
- 患者さんの体調や服薬状況の確認
- 医師の往診への同行、薬に関する相談への対応
- 処方変更への対応、調剤・監査
- 薬のカレンダーへのセット、配達・配薬
- 残薬や他院でもらった薬の確認・管理
- 薬歴や書類の作成
薬剤師の指示のもと、ピッキングなどの調剤作業や配達は事務スタッフとも分担。
薬剤師は監査や最終確認を主に担当しています。
担当はだいたい3施設150名くらいです。

在宅専門薬局の1日の流れを紹介

往診のある日は、医師の訪問予定に合わせて動きます。
とある1日を朝から紹介。

患者さんの情報を頭に入れる
往診同行前は、診察する患者さんの情報を整理するところから。
前回から変わったことや、医師に相談したいことを確認します。
往診で質問されたときに答えられるよう、データも頭に入れて準備。
事前に「往診表」も用意します。
患者さんごとの確認事項や変化、相談事項をまとめたものです。
往診表は、急な休みの引き継ぎにも使えるので便利。
代わりの薬剤師が何を確認する日なのかわかるよう、事前にそろえておきます。
医師より先に施設へ行き、ゆっくり話を聞く
私が施設へ入るのは、医師が来るより少し前。
スタッフさんや患者さんと、ゆっくり話す時間を取るためです。
看護師さんや介護士さんから聞いておきたいのは、以下のこと。
- 前回から体調や生活の様子に変化はないか
- 医師に相談したいことはないか
- 外用薬など、余っている薬はないか
- 下剤など、服用を見送った薬はないか
薬の使い方で、現場が困っていないかも確認します。
たとえば、貼付薬の交換時間が患者さんごとに違うと、管理が複雑になることも。
吸入は、対応できる看護師さんがいる時間かどうかも大切です。
「確実に飲んでもらうにはどうしたらいいか」
「飲ませにくい薬はないか?」
など、まずはスタッフさんへ聞き取り。
患者さんに必要な治療と、現場で対応できる方法を相談するための準備です。
患者さん自身の話も、ゆっくり聞いておきたいところ。
医師には遠慮してしまう方もいます。
短い診察時間で、困っていることを全部話すのは難しいですよね。
患者さんや家族の希望と、毎日お世話をするスタッフさんの状況。
両方を聞いて、往診で医師へ伝えられるように整理します。
配薬の時間も、患者さんの思いを聞ける機会です。

医師には言いにくいこともあるよね。診察前の会話も、大切にしたい時間です。
医師の往診に同行する

医師が到着すると、いよいよ往診。
私が一番気を引き締める時間です。
往診前に聞いた患者さんの思いや、スタッフさんの相談事項を医師へ伝えます。
施設によって、スタッフの人数や経験もさまざま。
そういった状況も、医師に伝える情報のひとつです。
薬学的な質問に加えて、患者さんについて聞かれることもあります。
事前に整理したデータや、現場で確認した様子をもとに答えます。
その場で検査値を聞いたり、処置を見たりできるのも、往診同行の醍醐味。
患者さんの状態と薬の話がつながる面白さを感じます。
医師との信頼関係ができると、処方薬の相談をされることも。
薬剤師として力を発揮できるのが、うれしいところです。
「最初から一人でできるかな?」と心配になる方もいるかもしれません。
私も担当し始めたときは、同行して教えてもらったので大丈夫ですよ。
申し送りをして、薬局へ先に情報を送る
最後は、スタッフみんなで申し送り。
往診で決まったことを共有して、施設での対応を終えます。
帰局までには時間がかかるので、薬局へ戻る前に処方の変更点や新しく出た外用薬を連絡します。
その間に、薬局内で調剤を進めてもらう流れです。
訪問する担当者と、薬局内で準備するスタッフ。
両方が連携して、在宅の仕事が進んでいきます。
帰局後は、監査と配薬準備をする
薬局へ戻ると、往診で出た薬の調剤がおおむね終わっています。
私の担当は、監査と配薬の準備。
カレンダーへ入れたり、配達できるようにセットしたりして、薬歴を記録します。
患者さんが他の科を受診する場合は、他院の薬も確認。
施設往診のあとだけでなく、ほかの処方にも目を配る必要があります。
実際に、知らない間に外来を受診して薬をもらっていた方も。
重複している薬に気づき、医師に報告したことで、中止につながった経験もあります。(ヒヤヒヤ)
往診がない日は?
薬局内で、ほかの担当者の往診後の変更処理や監査、書類の作成など。
配達するカレンダーや薬の最終チェックも、往診のない日の仕事です。
勤務先では、往診のない日を休日にすることもあります。
往診予定と薬局内の業務に合わせて、シフトを調整する働き方ができます。
逆に祝日にも往診があったりします。
在宅の仕事が好きな理由

一番の魅力は、患者さんを生活ごと見られること。
本人の話と、毎日関わるスタッフが知っている日常。
両方を聞けるので、薬だけにとどまらない相談につながります。
私が印象に残っている話を紹介しますね。
おまんじゅうを楽しみにしている患者さん
糖尿病のある高齢の患者さんに、毎日のおまんじゅうが楽しみな方がいました。
血糖値の管理は必要。
でも、毎日のおやつのおまんじゅうは1日の楽しみみたい。
医師に相談した結果、決まった方針はこちら。
- おまんじゅうは1個と決める
- そのほかに、一人で追加して食べない
- 医師の判断で糖尿病薬を増量する
楽しみを全部なくすのではなく、生活の満足感と治療を相談した事例です。
もちろん、食事や薬の調整は、その人の状態に合わせた医師の判断です。
患者さんとの会話が、医師への相談につながった経験でした。
「朝まで眠れない」の背景を聞いたら‥
ある患者さんは、「朝3〜4時に目が覚めてしまう」と訴えていました。
それだけ聞くと、眠れていないように感じますよね。
ところが、施設スタッフに確認すると、就寝は夜7時ごろ。
夜中も起きていないとのこと。
生活の様子を伝えると、医師からは十分眠れているという説明がありました。
気になるなら、夜もう少し遅く寝るようにとの助言も。
患者さんは、その話を聞いて安心した様子でした。
睡眠薬を追加する前に、生活の情報と説明で不安がやわらいだ経験。
私も、診察前の聞き取りの大切さを感じています。

朝早く起きると「眠れていない」と感じることも。就寝時間まで聞いてみると、医師に伝えられる情報が増えるね。
在宅専門薬局で大変だと感じること

大変さもあります。
特に、施設内で感染症が広がったときの急な対応。
インフルエンザやコロナが発生すると、対策していても一瞬で広がる場合があります。
毎日2〜3回、急な配達(急配)が必要になった経験も。
防護服を着て、往診に同行することもあります。
予定していた仕事だけで終わる日ばかりでないのが大変ですね。
ただ、施設スタッフさんと連携できると、発熱の段階で連絡をもらえます。
薬が必要になりそうだと予想できれば、準備もしやすいですよね。
今の勤務先では、事務スタッフも薬剤師の指示のもとで調剤作業や配達を担当。
分担のおかげで、急配対応による私の残業は少なめです。

急配があっても、全部を薬剤師が担当するとは限らないよ。仕事の分担まで聞いておきたいですね。
在宅薬局を選ぶなら、確認したいこと

私が働きやすいと感じる理由は、勤務先の体制にもあります。
見学や面接で確認してほしいのは、以下の点です。
| 勤務先の特徴 | 私がよいと感じる点 |
|---|---|
| 門前の外来との兼務がない | 在宅業務に集中できる |
| 勤務時間や曜日が柔軟 | 生活と往診予定に合わせて調整できる |
| 事務スタッフと業務を分担 | 薬剤師は監査や最終確認に集中できる |
| 機械化されている | 一包化の新しい機械や複数の薬歴用タブレットがある |
| 薬剤師が複数いる | 急な休みの往診も、引き継いで対応してもらえる |
| 子育て世代も働いている | 発熱などで急な休みも言いやすい |
在宅を扱っていても、門前の外来と兼務する薬局もあります。求人を見るときは確認してみてください。
勤務時間が柔軟でも、日祝の対応はある
私の勤務先で決まっているのは、1か月の総勤務時間。
出勤時間や曜日は、スタッフによって違います。
勤務の例は、次のとおり。
| 働き方の希望 | 勤務の例 |
|---|---|
| 朝はゆっくり過ごしたい | 10時から19時、または11時から20時 |
| 保育園に預けて出勤したい | 7時開園の保育園を利用し、8時から17時 |
| 平日に旅行や通院をしたい | 日曜・祝日のシフトに入る |
勤務先は24時間365日対応なので、日祝も誰かの出勤が必要です。
担当できる人がいないときは、エリアマネージャーが対応することも。
もちろん、好きな時間に自由に出勤できる制度ではありません。
往診予定や人員との調整は必要です。
急な休みに、担当を引き継げるか
子育て中は、急に休まなければならない日もありますよね。
私の勤務先は薬剤師が複数いて、休みやすいと感じています。
特に引き継ぎが必要なのは、往診の日。
代わりの人には、事前に作った往診表を持って行ってもらいます。
LINEや電話でも要点を伝えて、担当者以外でも対応できるようにします。
まとめ|在宅専門薬局は大変だけじゃない

在宅専門薬局では、往診同行や薬の管理を通じて、患者さんの暮らしに深く関われます。
私が一番の魅力だと感じているのは、患者さんの生活ごと治療に関われること。
医師や看護師とチームで治療を考えられるところです。
急配や感染症への対応など、大変な場面もあります。
もし、在宅専門薬局で働いてみたいと思ったら、以下のことを確認してみてくださいね。
- 外来との兼務や、実際に担当する仕事
- 調剤作業・監査・配達の分担
- 勤務時間、日祝の対応、急な休みの引き継ぎ
- 未経験なら、最初の往診同行を誰が教えるか
見学に行って、実際の体制を見ることが大切です。
求人票だけではわからないことも多いので、見学や転職エージェントを通じて聞いておくと安心。
転職エージェントは登録も相談も無料なので、在宅の求人がどれくらいあるか聞いてみるのもおすすめです。

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